クイケンのOVPPによるマタイ受難曲

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kuiMath.jpg昨年のミサ曲ロ短調に続き,Kuijken / La Petite Bandeの組み合わせによる,OVPP形式によるマタイ受難曲がリリースされました.私はどちらかというと古楽器演奏マニアでは有りませんし,クイケンの解釈を全面的に支持するようなファンでもありません.この録音も最初の印象は,ややバランスの悪いような,物足りないような感じがしました.

J.S.Bach Matthäus-Passion / Kuijken(拡大)

「OVPP(One Voice Per Part)」つまり合唱を使わずに,各パートを一人で歌うという特殊な形式で,さらに低音にヴィオラ・ダ・ガンバとバス・ヴィオールを使い,もともとやや音のふくらみに欠けるLa Petite Bandeの音が一層か細く聞こえます.録音エンジニアはかなりがんばっているようで,あのリヒテルの平均律のような事にならずに済んでいますが,歌手の実力の差まで埋められては居ないようです.

良い点があるとすれば,それはバッハの思い描いた音楽の構造が非常に明確になっているという事なのですが,やはり痩せて聞こえるのは否めません.よく言えば静謐感,清浄感がありますが,音量が小さいとも言えます.

古楽器による演奏も,「ああ,こういう音なんだ」という以上の意義が私には感じられません.小さな音で,音の響きを抑えた挙げ句に,音楽的構造の彫琢(ちょうたく)が行われているのですが,これはスコアを読むような,いささか砂を噛むようなむなしさを感じずには居られません.

音楽として悪くは無いと思うのですが,「こういうのもありか」という印象しか有りませんでした.バッハが使ったのは合唱であり,その意味を敢えて置き換えるほどの演奏かといえば,些かの疑念を感じます.目新しさ,物珍しさというところでしょうか.

私的にはソプラノが戴けない感じがして残念です.

ちなみにSACDの5.1chトラックは良い出来です.オーディオ的には...

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このページは、silentseaが2010年3月21日 19:41に書いたブログ記事です。

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