2004年の5月に連載開始した作品なので,もうあまり知っている方も居ないかもしれない.また連載されたのが当時絶不調だったアクションだったので,なおのこと読者数は少ないだろう.
私も何話か読んだかもしれないが,全話を読んだ記憶はない.売れない雑誌の連載は気の毒ではある.
休日のランチに利用しているグリルに置いてあったのをたまたま読み始めたのだが,全部読み切らないうちに入れ替えられてしまったので,急遽本屋を探して歩いた.最近の書店は売れ筋や新刊しか置いていないので,かなり苦労してしまった.
この話,実は刑務官と死刑囚という非常にセンシティブな題材を扱っていて,そういう意味ではランチを摂りながら気軽に読む本では無いかもしれない.2007年の文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞しているので,あるいはそれで知っている方も居るのかもしれないが,私もそれは知らなかったので,まあ部数の増加には寄与しなかったのだろう.
テーマが複雑で,とても一言で語れる作品では無いので,興味のある方は探して読んでみてとしか言いようがないのであるが.単純に死刑の是非を問うような作品では無いところが,私には良かった.死刑に関しての私の意見もいうなれば「是非も無し」なので.
民主制度の上に宗教的世界観が幅をきかせる欧米や,中東とくらべ,東アジアはもう少し複雑な世界観を持っているので,感情論や単純な人道主義では計れないと私は思っている.もっとも冤罪の死刑囚というのは,もちろん論外ではあるが.
死刑はあるのに,懲役刑に終身刑が無いというところが,我が国の刑罰制度の不思議を示すとともに,死刑に対する複雑な感覚を示しているのでは?
この本は死刑の是非を問いかけているのではなく,読者の生死感について,問いかけているように思う.

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