
La Campanella
音楽家という特別なギフトを貰った人々の中には,不幸なあるいはあまりに数奇な人生を歩んだにも関わらず,驚くほど前向きな,人生を肯定する音楽を聴かせてくれる者がいる.フジコ・ヘミングもそういった音楽家の一人だと思う.技術以外の何かを信じずにはいられなくなる,そんなピアノを聞かせてくれる.
このひとのピアノは何故こんなに心に滲みるのだろう.人を感動させる音楽を奏でるためには,それだけの代償が必要なのだろうか.だとすれば,現代の日本の音楽家に,そのような人が今後現れるのだろうか?「天国に行けば私の居場所が」と言わしめるほどの不幸が必要なのだとしたら.それはもう望むべくも無いのでは?
フジコ・ヘミングの名を不動にしたリストのラ・カンパネラ,ハンガリー狂詩曲を含むこのアルバムがSHMCD化されたので改めて聴いてみたが.録音でさえ,なお人の心を震わせる音楽の不思議さを思わずにはいられない.
それを奇蹟と呼ぶのなら,間違いなく奇蹟はここにある.

コメントする