
フェルマーの最終定理
昨年(だったか?)ポアンカレ予想が証明されて話題になったが,これは今から10年ほど前にフェルマーの最終定理が証明された際のBBCのドキュメンタリーを作成するために行われた取材の過程で得られた情報をまとめたものだ.証明を行った数学者の,解を得るまでの道のりと,3世紀にわたってこの定理と格闘を続けた幾多の数学者の情熱について描かれている.
ここで門外漢の私がフェルマーの定理について説明しても,自分で頭を使わない学生のコピペ・レポートに使われるのが関の山なので,やめておきたい.要は定理の内容ではなく,数学上の難問中の難問に累々たる墓碑を刻み続け,それでも罷むことのなかった幾多の数学者の熱情がこの本の主題といえよう.
真理を追い求める者たちの人生が,こんなにも人を感動させるものなのかと,感心してしまう.小難しい理系の豆知識本ではない.求道者の人生の旅路を書いた本といえる.ソフト屋は数学屋に対して,いささかの理屈っぽさにおいて,一方的な親近感を持っている.
ノンフィクションで,しかも数学ものというハードルの高さを気にせず読むことができる,お薦めの一冊だ.
ファルマーの最終定理
Simon Singh著
青木薫訳
新潮文庫
ISBN978-4-10-215971-2

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