
PLUTO 浦沢直樹著
そろそろ連載も佳境に入ってきたので紹介してもいい頃合いだろう.言わずとしれた手塚治虫の名作鉄腕アトムの「地上最大のロボット」を,浦沢直樹がリメークした作品である.もはやリメークというのもいささか違和感を覚えるほどの話の広がりであるが,浦沢の得意なサイコドラマ風なテーストも相まって,読み応えのある作品となっている.
地上最大のロボットは,1964年に連載された180ページあまりの長編の作品で,一連のアトムの連載の中でも最も人気のある作品の一つだ.180Pつまりコミックスの一冊に少し足りないくらいでは,今時長編とはいえないかもしれない.しかし手塚作品をよく知っている方ならおわかりの通り.彼の作品は異常にテンポが早い.
通常の作家より2~3割コマが少ないと言われたが,現在の作家と比べると半分以下のコマ数かもしれない.そういう意味において,比較的に話が長くなる浦沢が,この物語を7~8巻にしたからと言って,驚くに当たらないのかもしれない.
手塚の死後,いろいろな作家が焼き直しをするのがはやったが,それらの作品とこのPLUTOは全く一線を画していると言っていいだろう.登場人物(ロボット)の性格付けからして非常に良く練ってあり,手塚ファンを失望させないばかりか,浦沢ワールドの持つ独自性を失っていない.
連載開始当時,アトムがなかなか登場しないので,いったいどのように描かれるのか,読者の多くは期待と不安が入り交じったまま,じりじりとしたに違いない.私としては全く違和感なく受け入れられたが,皆さんはいかがだろうか.
前半の挿話としてはノース2号の話が好きなのだが,これも美しい詩情を感じさせるドラマになっていた.浦沢作品は連載で読んでいると,繋がりや布石が判らなくなるので,まとめて読む方が良いのだが,月イチの連載が待ちきれないような作品は最近はなかなかお目にかかれない.
最後のアトムとプルートの対決をどのように描くのか,楽しみではある.

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