秒速5センチメートル

新海誠監督 秒速5センチメートル
新海誠が最初に作った「ほしのこえ」と同じ放置プレイか?と思った.相変わらず台詞の密度が著しく低い.「語らず」の新海も健在だ.短編三部作とすることで,ものがたりとしての完成度はいままでより高いのではないだろうか.しかし,何か心がざわつくような後味,何が原因か考えるとどうも新海作品のあり方が影響しているようだ.
リアリティとして,私の心を何かざらつかせたのは,非常にリアルな新宿副都心の描写だ.KDDビルから住友ビルに向かうビルの谷間.地下道の出口の描写がリアルすぎて,昔の悪い夢を見ているようだった.26歳になった主人公の生活もその頃の自分を思い出させるようで,心がざわついた.
そして新海作品全体を通して語られる,いつまでも昔の恋を引きずる男も,リアルすぎて(自分と比較してだけ言っている訳ではない),妙に心がざわざわとする.女はすぐに次の恋を見つけるが,男はどういう訳か引きずる,その辺が男の子供っぽさなのだろうが.
心のざわつきは,結局自分の情けないところをみているような既視感が影響しているようだ.子供の頃には妙にオトナでしっかりしているのに,オトナになると子供の頃の自分を追い越せない男の子供っぽさに目を逸らしていないところが厳しい.
見る側のそれまでの生活によるのだろうが,見た後にへこむ作品だ...