天国からの歌声を聴け - 尾崎豊 -

13/71 Sony Music
買い物帰りの電車の中で,iPodの操作を失敗し,聴こうと思っていなかった曲を再生した.そんなつもりでは無かったのに,危うく泣けるところだった.曲は尾崎豊の十七歳の地図だった.尾崎豊は私にとってはリアルタイムの音楽であり,当時は良く聞いていた.1992年に彼が死んで,その後の異様なブームに些か閉口し,意識的に遠ざけていたように思う.
今でも信仰に近いような崇拝に共感は感じない.しかし,彼の曲が大好きで,彼の死を知らずに旅立った私の大切な友の思い出も,透明感のある歌声とともに私の元にやってきた.奇しくもお盆である.
宗教は死者のためにあるのではなく,生きる者のためにあるのだという.もし自らの心が慰められるのなら,私は私の大切な者のために,百万の祈りを捧げたかも知れない.残念ながら私にとって,祈りは虚しいだけだ,逝ってしまった者の温もりが,この手に戻ることはない.
宗教も,彼岸の世も信じてはいないが,夭折した歌い手に共通する透明感は説明が付かない.あるいは自分自身の生に,「予感」の様なものが有るのかも知れない.
新しくデジタルリマスターされた録音を聴いてみたくなり,ベスト盤を購入してみた.13/71とは尾崎豊の残した全曲が71曲で,その内の13曲を収録しているということらしい.もっとも71曲というのは「ソニーに残した曲」なのだが.(71/71という全曲CDBOXも出ていた)
詩の内容も,彼自身の生活もすさんだものだったにもかかわらず,何故このように清浄感のある歌声になるのだろう.歌声はこうして残った,しかし歌声を持たない者は,何を残したらよいのだろうか.
私には思い出してあげることしかできない.
尾崎豊
13/71-THE BEST SELECTION
Sony Music Records Inc.
SRCL 5977