グリーグ/シューマン ピアノ協奏曲

Grieg/Schumann Piano Concerto S.Richeter
久しぶりにこのCDを聴いた.リヒテルはいくつか他の追随を全く寄せ付けないような超絶的な録音をのこしているが,このロマン派を代表する2曲はそうした,比較対象さえ思い浮かばない様な録音のひとつである.ここにおけるリヒテルはまさに完璧で常に冷静なテクニックと,美しい詩情という二面性を明確に顕している.まさにリヒテルの真骨頂とも言える.
冒頭から強引,あるいは傲慢とも言える程の引力でテンポを支配するグリーグ.それに対しオーケストラの色合いと同化したようなシューマン,これは曲の正確を良く表しているようにも思える.果たして計算なのか,曲の性格から自然に弾き分けているのか,それは判らないが見事な物である.
マタチッチといえば,N響の常任指揮者をしていたこともあり,なじみの深い指揮者である.どちらかと言えばぐいぐいとオケを引っ張るような指揮者だと思っていたが,ここでは見事なまでのサポート役を演じている.チャイコフスキーを録音したときのカラヤンとは雲泥の差だ.
この88年発売のCDでは,ピアノの音が若干籠もったような音に聞こえる.リマスターした盤では如何だろうか.しかしそのような僅かな瑕疵は問題にならない名盤である.もしリヒテルを初めて聴こうというなら,ヴィスロッツキと録音したラフマニノフに並んで,絶好の一枚で有ることは間違いない.
Piano : Sviatoslav Richter
Conduct : Lovro von Matacic
Orchestra : Monte Carlo National Opera Orchestra
Recorded : 1974/11/25-30
EMI