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2007年07月01日

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風車祭(カジマヤー)

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風車祭 池上永一著

沖縄の話である.戦争の話でもなければ,美しい自然の話でもない.生ゴミ入れの生ゴミをあさる怪しいオバァや,6本脚の豚,美女の幽霊という登場人物に翻弄され,6本脚の豚(雌)と「するはめになる(何を?)」気の毒な高校生のお話である.このように書くと如何にもコメディーっぽいが,後半はスペクタクルな...

池上氏は94年に「パガージマヌパナス」(我が島の話)で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し,デビューした.この700ページを超える小説は98年の直木賞候補にもなった.沖縄が持つユタという巫女(シャーマン)を中心にした宗教的伝統と,現代の沖縄の落差,そしてどういう訳かそれらが渾然一体となっている「沖縄文化」を自嘲っぽく書いているが,実は沖縄を見つめる作者のまなざしは暖かい.

話はおもしろおかしく,やがて哀しい,現代の沖縄を過去と結びつける伝説やサブカルチャーに満ちている.奇想天外な物語が実にテンポ良く展開し,読む物を飽きさせない.沖縄の言葉に慣れていない人はまるで外国語の本のように感じるかも知れないが,そのウチナーグチがこの物語の重要なアイテムでもある.

247年前,島を襲った津波で死んだ良家のお嬢様「ぴしゃーま」の幽霊に出会い,まぶい(魂のような物)を落としてしまった高校生「武志」.幽霊が成仏するために,247年前のあの日をやり直させようとする武志と,まぶいを取り戻させるために奮闘する武志のおばぁと,彼女?の睦子のはた迷惑な物語なのだが.八重山の伝承を基にしているため,沖縄特に八重山の文化に深く根ざした話になっている.

独特な「島時間」のテンポと,臭いが沖縄好きには堪らないのだが,不思議な浮遊感や夢のような不確かさは,宮崎駿がアニメ化したら面白かろうと思わせる.

ちなみに我が家の猫の名は,ここからとった.ぴしゃーまとは,お嬢様を意味する八重山の古語である.かじまやーとは97歳の誕生日のお祝いである.