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Beethoven ヴァイオリン協奏曲

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Kogan / Heifetz

シリアスの権化の様なベートーヴェンは,時として意外なほどチャーミングな旋律を書いた.この唯一のヴァイオリン協奏曲はその代表的な曲と言える.その意味において優しい演奏が受け入れられる曲なのだが,そう言う演奏は少ない.1981年に録音された,このコーガンの演奏は中でも何かが乗り移ったような演奏で,この曲の私にとってのベスト盤である.

コーガンの演奏は常に冷静で,まるで自分の演奏をもう一人の自分が観察しているような感じがする.そのため冷徹とか,技巧派といった形容が使われることが多いのだが,この録音におけるコーガンは別人のような情熱をぶつけている.時として汚いくらいに激しいボーイングが,この曲の本質を引き出していると言えるのではないだろうか.カデンツァもクライスラーではなく,ヨアヒムのものが使われていが,それもコーガンの演奏にマッチしている.

写真右は1955年のハイフェッツの演奏である.ハイフェッツは旧ソ連のリトアニア出身であるが,16歳で渡米したためにロシア風の技巧とは違う.しかし似たような境遇のメニューインなどと較べると骨太な演奏である.西側に出たおかげで良い状態の演奏も残っている.この曲のオイストラフの演奏が良い状態で残っていないのは残念だ.

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Kyung-Wha Chung

もう一枚はチョン・キョンファの演奏,情熱的な演奏で勇名をはせたチョンは,どうしてもテンシュテットとこの曲の録音をしたいと,EMIに移籍したといわれている.この録音がそのテンシュテットとの録音である.テンシュテットもチョンもブランク開けの演奏であるが,巧くかみ合っている.

しかしチョンの演奏は若い頃と較べていささか温和しくなっているように感じる.その分技巧的になっているが,この曲は寧ろ若々しい情熱が似合っている.テンシュテットのベートーヴェンも私としてはあまり好みではないので,チョンの演奏としてはコンドラシンと録音した盤の方が良いように思える.

何れにしても一般的な評価はともかく,コーガンの鬼気迫る気迫の演奏は引き込まれる物がある.

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