オルフ "カルミナ・ブラーナ"

ヨッフム指揮 "Carmina Burana"
その曲が,20世紀の作曲家オルフが作曲した世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」であると判るまでに3年もかかってしまった.恐らく,この曲の冒頭と,掉尾を飾る「運命の女神よ」を聴いたことが無い人は居ないのではないだろうか.映画,ドラマ,スポーツ中継といったありとあらゆるメディアで引用され,その頻度から言えば,今日ではベートーヴェンの5番を凌駕するであろう.
何処かで耳に挟んだ曲がなにか探すのは,クラシック音楽の楽しみの一つである.繰り返し聴いた曲ならばいざ知らず.余程のクラシック通であっても,曲の一部を聴いてなにか言い当てるのはなかなか難しい.ましてクラシックは口や鼻歌で表現できない場合も多い.
メロディーが無く,コードだけで表現されている部分などは,歌で表現するのは極めて難しい.そこで自分の勘を頼りに,曲の感じや,時代性を探り,思い当たる曲を聴いてみたり,引用している映画やCFのサウンドトラックを探してみたり.大変な努力を強いられる.今ほど便利なサービスや,ネットワークの無い時代には更に難しかった.
まだクラシックを聴き始めの頃は,こういう事が頻繁にあった.ブラームスの弦楽六重奏曲一番の第二楽章,チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第一番の「アンダンテ・カンタービレ」などは,そうやって探した曲だ.今は有名な曲のさわりだけ入れたようなCDもあるので,探すのは楽だろう.
この曲に関して言えば,作曲手法が非常に古く,合唱もユニゾンなので,比較的古い時代だと思ってしまった.最初の印象ではヴェルディのレクイエムかと思ったが,これは良く知っているので,似ている部分はあるが,違う事は判った.まさか20世紀の作曲家が作った曲とは,思い至らなかった.
このCDはヨッフムがベルリン.ドイツ・オペラ管弦楽団を指揮し,オルフ自身の太鼓判を押された録音である.映画やテレビの引用も,この録音が多いようだ.世俗カンタータというその名の通り,世俗的な内容の詩篇に曲を付けたものだが,「運命の女神よ」と他の曲がどうにも結びつかない.
あまり録音の多い曲ではないし,名曲かと問われると,「人それぞれ」というしかない.しかし,人が運命の神の前に跪き,我が身に降りかかる運命に恐れおののく様を非常に良く表している.整理中に見つけて何気なしに聴いてみた.
全部聴くのはなかなか大変だが...