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2007年01月20日

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朝比奈隆シカゴ客演公演

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朝比奈隆 シカゴ交響楽団 1996年アメリカ公演(DVD)

晩年の朝比奈隆がシカゴで客演した際の,一回目の公演の記録である.当時私はアメリカのマスコミのいささか悪意のある批評しか目に留まらなかった.そもそも日本のマスコミは自虐的なところがあり,批判されるとそれを大げさに取り上げる傾向が強い.これを見ればそれらの批判が的外れで,クラシックを良く理解していない記者の記事で無かったことが良く判る.

悪意のある記事というのは,ようするにシカゴは良いオーケストラなので,あのような老人でもちゃんとした演奏になるとか,誰が振っても同じだというような内容だった.しかしこれは語るに落ちると言うやつだろう.これなら彼等自慢のショルティの演奏でも同じと言うことだ.

元々アメリカの楽団が果たしてクラシックにおいて「良質」かというと,私は些かアレルギーを感じる.メトロポリタンとレヴァインのあの下品な音楽を受け入れることは出来ない.ショルティとシカゴ響の演奏も良いときも悪いときもある.ニューヨークもバーンスタイン存命の頃の輝きはない.

さてこの演奏は初日のもので,実は翌日の方が評価は高かったようだ.演目はブルックナーの5番で朝比奈がブルックナーの中で最も得意とする曲だ.当初分かり易い8番を予定していたのだが,同じシーズンにショルティが演奏していたので,5番になったということだ.

演奏は全く朝比奈らしいゆったりしたテンポで,ショルティの演奏とは異質の物だ.この点を持ってしても米国での批判記事が当たらない事を証明している.さらに特典映像では,ドキュメンタリー映像が含まれているが,演奏を終えた朝比奈が寛いでいるところに,シカゴ響のマネージャーが来て,朝日の手にキスをしている.これは異例なことだ.

朝比奈らしい,ゆったりとした中に,濃密な音の表現を求める演奏が,名手の多いシカゴ響の良い響きを引き出している.流石に初日で朝比奈の表情は堅いが,聴き応えのある演奏である.NHKは不祥事で落ち込んだ視聴料に換えて,このようなお宝映像を販売し始めた.今後も期待できそうだ.