Urban Giants (1) - 都市の大樹 -
森の巨樹は消えつつある,しかし思わぬ街中に住民に愛される大樹が稀にある.時折,そういった大樹を訪ね歩いている.藤沢のこの樹はそれ程大きいわけではないが,商店街の中の病院の敷地にあり,しかも切り通しの道路のがけの上という,難しい立地に生えている.既に15年以上のつきあいが有るので,この樹を最初に紹介しようと思う.
この楠は幹周りが大人手を広げ二人半ほどあり,若木の内に剪定されなかったらしく,幹が大きく枝分かれし,暴れている.切り通しの上に懸かる車道橋を覆い隠すように葉を広げ,夏場には気持ちの良い緑陰を作っている.この樹のある病院の向かいに喫茶店があり,この樹を良く見通せる席がある.
近くによって,時間があるときはこの席に座って飽きもせず眺めている.病室からは,きっと間近に見られるに違いない.入院したくは無いが,このような大きな樹の眺めは心が安まるのでは無いだろうか.
道路近くにあった幹は一度切られたようだが,変に手が入っていないところがまた良い.やはり病院と云うこともあるのだろうか.最近は葉が落ちると云って,公園の桜が切られたりしてしまうご時世なので,大きな樹を見つけると,いつ切られるかと気が気でない.
商店街の真ん中という,ロケーションの悪さも,この樹の存在感を強調している.わざわざ出掛けるほどの偉容とは云えないが,近くに来たなら一見の価値はある.