The Harder They Come - Jamaicaの現実 -

The Harder They Com(KKDS-309紀伊國屋書店)
"Jamaica","Reggae"を日本人に知らしめたのは,Bob Marleyでは無い.実はそのやや後の世代になる,Jimmy Cliff(ジミー・クリフ)が主演した映画,「The Harder They Come」である.1972年に公開されたこの映画は,当時知られていなかった,Jamaicaの人々の暮らしを,まるでドキュメンタリーの様なリアリティーで描き出した.
このDVDを紹介するならば,movieカテゴリーで書くのが,映画に対する敬意の表し方として妥当なのだろう.しかし,この映画は作品の質以上に,ジミー・クリフの音楽によって,見る者に強く印象を与えたのである.
脚本は,捕まらない強盗殺人犯として有名になった実在の人物をモデルに描かれている.資料が手元に見あたらなかったので,確認できなかったが,ボブ・マーリーの「I Shot the Sheriff」も,この話が元になっていたように記憶している(違ったか?).
しかし,それ以上にまるでジミー・クリフその人の半生を見ているかのような,妙な実在感が見る者の胸に迫る.ボブ・マーリーが嘗て語っていたように,一曲録音して20ドルというJamaicaの音楽産業の現実.職を求めてキングストンを徘徊する若者.
救いはジミー・クリフの笑えるほど前向きな歌である.タイトル・ロールに成っている,The Harder They Comeも笑えるような歌詞でないが,その音楽は実に明るい.Queenの時にも書いたが,アイドル崩れのつまらないドラマに「I can see clearly now.」が使われて,些か憮然とした気持ちになっている.
まあドラマによってジミー・クリフを知ったとしても良いだろう.しかし,是非,この映画のサウンドトラックでも聴いて貰いたいものだ.歌詞がディランの「Blowin' in the wind」を彷彿とさせる「Many River to Cross」や,「You can get it, if you really want.」などは,Reggaeのイメージを一新してくれる事だろう.
今や老人になったJimmy Cliffが,インタビューで続編にやる気満々なのが気になる.