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R.シュトラウス ばらの騎士

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クライバー指揮 バイエルン国立歌劇場盤

乱暴な話だが,イタリア・オペラとドイツ・オペラという2つの範疇でオペラを色分けすることがある.華やかで煌びやかなイタリア・オペラに対し,ドイツ・オペラは脚本も哲学的で,説教臭い教訓めいた話が多かったりする.同じ悲劇でもドラマチックなイタリア物に対して,ドイツの悲劇は救いがないと言われる.その中間的な色合いを持つのが,ウィーン物である.

ウィーン物というのは,本来はドイツの作曲家が作った物が多いのだが,脚本の舞台がウィーンになっていると,それだけで華やかな雰囲気に成るのだ.イタリア物が庶民的な話が多いのに較べて,ウィーン物は宮廷や貴族社会が舞台になるので,いくらか上品な華やかさを持っている.リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」はまさしくウィーン物の代表的な作品だ.

内容もまるで宝塚少女歌劇のような世界を描いており,このオペラのファンは非常に多い.簡単にあらすじを紹介すると,元帥夫人は恋多き女で,若い伯爵オクタヴィアンの告白を受け入れ,亭主の留守に一夜をともにする.ところが朝早くに,下品な成り上がりの男爵がやってきて,貴族の結納の儀式で,花嫁に銀の薔薇を送る騎士を紹介して欲しいとやってきた.

姿を見られたくないオクタヴィアンは,女装して侍女「マリアンデル」と名乗るが,好色な男爵は,この「マリアンデル」にも興味を持つ.元帥夫人はオクタヴィアンをばらの騎士に推薦し,当日オクタヴィアンと花嫁ゾフィーは一目で心を惹かれ合う.逢い引きの現場を男爵に見られたオクタヴィアンは,一計を案じ「マリアンデル」として,男爵の好色を暴くために男爵を誘う.

花嫁の父に男爵の「浮気」現場を見せ,男爵を窮地に追い込む.父の名においてゾフィーは男爵に婚約の破棄を申し入れるが,その場に元帥夫人が現れる.元帥夫人はやがて自分の元を巣立つ若者の恋を祝福し,恋する二人を残して去っていく.

このさいごの修羅場で,ゾフィーはオクタヴィアンと元帥夫人の関係に気づき,また若い恋人の旅立ちを予感していた元帥夫人の心の葛藤も描かれている.オクタヴィアンは通常ソプラノが男装する役所で,そのあたりも少女歌劇風な趣があるのだ.

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1994年ウィーン国立歌劇場公演のパンフレット

1994年のウィーン国立歌劇場の引っ越し公演で,カルロス・クライバーによるばらの騎士を鑑賞する機会を得た.1階5列という良い席でクライバーの得意中の得意の演目を堪能した.この公演は非常に豪華で,アバドがフィガロを振り,その他若い指揮者がこうもりを振った.豪華な舞台装置も丸ごとの持ち込みで,バブルならではの豪華さだった.

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見開きにアバドとクライバーが並ぶ

写真のDVDは1979年の録音(録画)だが,元帥夫人にギネス・ジョーンズ,ゾフィーにルチア・ポップ,オクタビアンにブリギッテ・ファスベンダーが起用されている.バイエルン国立歌劇場による上演で,演出はオットーシェンク.クライバーはのちのウィーン国立歌劇場による映像も残しているが,この映像における,ルチア.ポップとギネス・ジョーンズは秀逸である.LDで出ていた物とマスターが異なるようだ.長らく輸入盤しかなかったが,今年4月に漸く日本盤として出た物だ.

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1994年公演のチケット

1994年の公演は,演出もこのDVDと同じオットー・シェンクである.出演者は以下の通り.
元帥夫人     フェリシティ・ロット
オクタヴィアン  アンネ・ゾフィー・フォン・オッター
ゾフィー      バーバラ.ボニー

オクタヴィアンのアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが凛々しく美しいカンカン(オクタヴィアンの愛称)を演じていたのが非常に印象に残っていた.クライバーも興が載っていたようで,あの踊るような指揮ぶりが出ていた.この公演のチケットを手に入れるのは非常な困難を伴ったが,手に入れただけの価値があった.バブルのあだ花かも知れないが.

クライバーのDVDとしては,1994年のウィーン国立歌劇場によるライブ録画があり,出演は以下の通り.
元帥夫人     フェリシティ・ロット
男爵        クルト・モル
オクタヴィアン   アンネ・ソフィー・フォン・オッター
ゾフィー      バーバラ・ボニー

男爵をモルが演じているところが凄いが,メンバーも演出も,衣装もみな日本公演と同じである.クライバーの勢いは旧盤が上だと思う.音楽の締まりは断然旧盤だ.ゾフィーもポップが上手か.ただ,ウィーン盤は演出の華やかさ,舞台の明るさなど,オペラの舞台になっているウィーンならではの雰囲気がある.但し,ウィーン盤はカーテンコールが無いなど,DVDの構成上の評判が悪い.

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