Glenn Gould - Hereafter -

Glenn Gould Hereafter(ideal Audience DVD9DM20)
Musicの記事が続いて恐縮である.この最近発売されたグールドのDVDを(努力を払って)買うつもりは無かった.ところが目の前に偶々あったので,購入してしまった.タイトルが示すとおり,グールドにとっての「未来」の聴衆との対話がテーマになっている.映像の多くは既に発表された物からの転用で,グールドの「語り」の部分も,既発表の彼の本をナレーターが読んでいるだけだ.
企画はどうあれ,ドキュメンタリーとしても,ドラマとしても中途半端であり,良い出来とは言えない.ただ所々に未発表の映像があったりするところが,ずるいところか.それもこれまでの映像作品のボツ・テイクと見れば,ますますいただけない作品なのだが.
それはどうあれ,グールドの新たな映像が少しでもあれば,グールド・ファンにとっては意味があるだろう.お勧めはしない.作品の出来も先に述べたとおりであるし,日本で版権を取得したのがアイヴィ(NAXOSと言えば分かり易いか)なので,DVDの構成も実にお粗末である.
日本盤と謳っているにも拘わらず,日本語のブックレットはDVDの中にPDFファイルで納められている.実際にはRegionコードはALLなので,全世界向けのDVDなのだろう.また日本語字幕は誤字脱字だらけで,表示のタイミングも悪かったり,後で修正した部分のFONTが違っていたり,つっこみ処は数え切れない.
熱烈なグールド・ファンならば「持っている」意味はあるだろう.一般の音楽ファンは見る必要はない.グールドについては他に良い作品が沢山ある.ただ,作品中において,メニューイン(間違っていたら済みません)と議論しているところで,前後が判らないが演奏家が評価される「基準」は,コンサートだとするメニューインに対し,それは録音だとグールドは云っている.
タイトルの通り,未来の我々が評価するのは,グールドが言ったとおり「録音」である.私はリヒテルなどは8回あまり,リサイタルを聴くことが出来た.リサイタルの緊張感や,ピアニストの息づかいまでが,音楽を聴けばリアリティを持って思い出される.しかしグールドも,皮肉なことにメニューインも,録音を知るのみである.コンサートの録音も含めて...

Mozart Complete Sonatas(4CD)
グールドへの投資としては,此方の方がお勧めだろう.グールドによる,モーツァルトのピアノソナタ全集である.モーツァルト・イヤーの企画として出されたのだが,音質も良く,彼のモーツァルトに対する一貫したアプローチを理解することができるだろう.