水出しコーヒーで眠れない?
本来は水出しコーヒーなどは邪道であると思っていました.しかし会社でまともなコーヒーを飲みたい場合,いろいろ考えなければ成りません.3シーズンはホットで良いので,携帯式のドリップペーペーなどを使えば,「ポットのお湯」に目を瞑れば何とかなります.しかし夏場はやはりアイスでしょう.と言うことになると,途端に大変な苦労が待ち受けています.
自宅でドリップした物を,ポットに入れて持っていくと会社に着いた頃には,酸化してすっかり味が変わっています.そこで考えたのがダッチ・コーヒー,所謂「水出し」です.ところが,これがまた巧く行きません.水を滴下する仕組みが,各社工夫はしているのですが,これという決め手は無いようです.写真の器具は三台目ですが,結局時々調整しないと,途中で滴下が止まってしまいます.
寝る前に準備して,朝起きるまでにすっかり抽出が終わっていると目論んでいるのですが,止まるんですこれが.結局夜時々起き出して滴下の状態を確認することに.うーん珈琲で眠れないというのは,こういう事ではないのだが,と思いつつ.
さて,何故水出しコーヒーは美味しいのか,それはコーヒーの旨味(コク)成分の仕組みに関係があります.コーヒーの旨味は実は「苦み」成分にあるのですが,これが曲者なのです.コーヒーの苦みの元は「褐色色素」つまり「焦げ」なのです.生豆に含まれる糖質やアミノ酸,油分が焙煎時の加熱によって結合したものです.
ところが,この褐色色素は誕生した途端にどんどん結合して,高分子化してしまいます.高分子化した「焦げ」は鋭く下を刺すような苦みになり,かつ舌に残るため,「キレ」の悪い味になるのです.実はこのように結合する前の小さな分子結合を持つ褐色色素B,C,は,水溶性が強いので,水出しにした場合,水溶性が低い高分子化した褐色色素Aより抽出されやすいのです.
水出しに限らずドリップでも,むら無く蒸らしてから,コーヒーが熱いお湯に長く浸からないようにお湯を注ぐことで,美味しいコーヒーを入れることが出来るのです.ただ水出しの場合はそれ程苦労しなくても,褐色色素Aを遮断できるので,その分実は手軽に美味しく入れられるのです.
ちなみに普通のドリップで美味しく入れるコツは,
1)30秒ほど蒸らす(蒸らしすぎない)
2)粉を窒息させない(お湯を注ぎ続けないで湯面が上下するように注ぐ)
3)適量を守る(豆10gでお湯100ミリリットル)
4)お湯を落としきらない(せこくお湯が落ちきるまで待たない)
※最後まで出し切ると,褐色色素Aが出てきます.
今晩もコーヒーで眠れない夜に成りそうです...