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静かなるハンター - 小笠原のしろわに -

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しろわに(拡大)

小笠原の海は独特の色をしている.いわゆる紺碧よりもやや明るい鮮やかな青を湛えている.群青というのはあのような色を云うのだろうか.そして見た目には微妙にドロッとした質感.小笠原海溝の深さによるものかもしれない.クジラはGentle Giantと呼ばれるが,このしろわにはさしずめGentle Hunterと云ったところか.

恐ろしげな乱杭歯のせいか,英名では Sand Tiger Sharkなどという名で呼ばれているが,非常におとなしいサメで,驚かさなければ撫でることもできる(所謂Tiger Sharkとは違う).このサメの口の左側には大きな釣り針が食い込んでいた.

延縄にかかった魚にでも食らいついたのか,あるいはカジキを狙うスポーツ・フィッシャーの針にでも掛かったのか.2mを軽く超える体長に成長した彼に「人」以外の天敵はいない.

私は釣り人が嫌いだ.生業で魚を獲っている人のことではない.たばこを吸う人間と同じで,どういう訳かマナーの良い人間に出会ったことが無い.水源の人造湖で,水質が悪くなるので,つりをするなと言っても,釣りをする.のみならず,ゴミを捨て,撒き餌をまき,残った餌を捨て,テグスを平気で捨てる.あまつさえ外来種を持ち込み,回収しようとする自治体やNGOにテロリスト紛いの妨害をする.

さらに笑止なのは,ブラックバスを釣ってリリースして,それが自然保護だとか,命を大切にしているとか寝言を言っていることだ.外来種によって生存の危機にさらされる在来種の命はどうなるのか?いずれにしても自分の趣味のためには,何をやっても良いと考えている人種だと私は思っている.

話が逸れてしまったが,この写真を見て,おとなしい魚だと思う人がいるだろうか?実際に海でしろわにに遭遇した人なら,撫でられるほどおとなしいサメであることを,肌で感じたに違いない.

真実は常に現場にある.真実を知るためにはフィールドに出るしかない.しかし気をつけなければいけない事は,一面で判断してはいけないということだ.北米のブラックバスが自然に棲息する環境において,キャッチ・アンド・リリースすることは自然の保全であっても,日本の河川湖沼においては,有害外来種の蔓延に手を貸す行為なのだ.(バスの駆除はバス釣りを楽しむ権利の侵害だなどというのは論外)

サメ狩りに参加し,撒いた餌に食いつく姿を見れば,恐ろしいと思うだろう.海の中で撫でた人間と,およそ反対の印象を持つに違いない.

野生生物を動物園や水族館で飼育する事を正当化する理由に,教育的効果を挙げるケースがあるが,一般の人たちは水族館や動物園でみた姿から,それらの生物の本来の姿を連想できるほど,想像力が豊かなのだろうか?せいぜいペットに対する愛情と同じような感情をもつのが関の山ではないのだろうか?

いかなる時も,フィールドに出て,いろいろな側面を見る事こそ.真実を知る唯一の方法なのだ.

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